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「オラ、がら空きだぜ!」
すかさず、アルベインがミドルキックを入れてくる。おそらく身体強化を施しているのだろう、防御したものの軽く吹っ飛ばされる。
「ぐっ―」
「終わりだ」
「残念ッ、私がいるよ」
「っ!?」
突如現れた輝夜が神威のトドメを受け止め、カウンターで神威の右足を切り付けて凌いだ。
神威を見据えたまま、俺に話し掛ける。
「なーんだ、結局攻め切れてないじゃん。どーしたのよ、部長様?」
「悪いな、今までと勝手が違っただけだ…」
俺は立ち上がりながら、再び右手に刃を形成した。
「いける?アレ」
「ああ」
輝夜はフットワークを確認しながら神威を見据える。神威やアルベインも、何か仕掛けて来ると感じたのかどことなく身構えている気がする。
「俺が先に行くから輝夜が合わせてくれ」
「りょーかい」
輝夜の肯定を聞き切る前に俺と輝夜はスタートをかける。この瞬発力にはあの二人にもついてこれまい。
「くっ!?どこ「ここだ」がぁ!」
アルベインの腕を一撃で貫く。アルベインの顔が苦痛に歪むが、俺は構わず貫いた腕を掴み神威へ投げ飛ばす。
「かはっ」
「…っ!」
アルベインを神威は片腕で受け止めるが、反動までは消し切れず態勢を崩す。そこを見計らって輝夜が乖離剣を構えた。
「な…アレは…」
「いっけぇぇぇぇぇ!」
有無を言わさない輝夜の攻撃。風の刃を纏った一撃を二人はまともに受け、大きく吹き飛ばした。
「ぐふっ…」
「ぐぁっ!」
「まだだ!」
そう叫び、俺は両手に刃を形成して飛び上がる。二人の腹をしっかり見据えた。
(…いける!)
「ミストルティン、シュート!」
両手に纏わせた一対の光波を二人の腹へ目掛けて投げつける。この行為は一番しんどい動作だが、無力化させるにはこうしかない。
ダウンを奪っている二人には難無く命中した。
「よし、沈黙を確認。後は佳奈多に報告しようか」
二人の腹からは大量に出血しているが、実はそこまで致命傷ではない。
なぜなら、この学園都市の大気にはナノマシンが散布されている。
だいたいの傷はこのナノマシンが治してくれるので、即死級の攻撃を受けない限りは大丈夫って寸法だ。
でなければ誰も何食わぬ顔で銃を乱射したりしないって。どこのテロリストだっての。
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