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「くそっ…ものの一撃で終わらされるとはな…」
「…不覚」
「残念だったな」
よっぽど残念だったのか、二人は苦悶の表情を浮かべる。真の黒幕が現れないのが気にかかるが、あらかたの敵は無力化したから問題はないはずだった。
「…これはいつ解ける」
「あらかたの事象が終わったらな。まだ、お前らのリーダーがいない」
そう。まだ俺は”アイツ”の姿を見ていない。こいつらのリーダーであり、最大の戦力であるはずの彼を。
「そういうことだ、アガルタは貰ったぁ!」
やられた!と思いながら俺は振り返るよりも早く、体が近接戦闘における高速歩術”瞬動”で恭介さんの眼前に踊り出た。
チィン!という甲高い音を散らしながら、突如現れた恭介さんのサーベルをいなした。
「やっぱり佳奈多じゃ抑えきれなかったんだな。どうしてるんだ」
「心配ないさ、会長なら少し眠ってもらっているだけさ」
あくまで不敵に笑みながら、恭介さんは答える。そのサーベルもまた、的確に急所を狙って来る。
「ちっ!」
ヒットアンドウェイが通用する相手ではない。俺は神経を研ぎ澄ませながら、恭介さんの剣の軌跡を追った。
神速といっても過言ではない振り下ろし。それを切り払いで弾くと、俺は背中打ちで恭介さんを吹き飛ばす…はずだった。
「ぐっ…!?」
「残念だったな」
あろうことか片手で受け止めた恭介さんは軽く俺を押して態勢を崩させる。そして右足に冷気を纏わせていた。
(やばいッ)
咄嗟に防御態勢を取る。それ以上に恭介さんの蹴りが速かった。
「ブレイズキック!」
冷気を纏わせた蹴りは俺に甚大なダメージを与えるのは必至だ。だが、恭介さんはダメージが与えられない事を確信している。
「やっぱお前の能力は反則だよな」
そう、間に合わなければ光刃がある。防御が間に合わなかったので強引に展開範囲を拡げて受け止めることが出来た。
そのまま、俺は瞬時に背後に回り込んだ。
「うぉ!?」
おっかなびっくりでもいとも簡単にいなす。だが負けじと俺はハイキックを叩き込む。
「てめぇ…容赦ないのな!」
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