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「まぁでも、往人は湊凪の中ではかなり強い部類に入るんじゃないかな?」
そんな往人をフォローするように、裕一が口を挟む。
「確かに、心を読まれながらも強引に私の攻撃を止めたり、人間の枠を越えた身体能力は強みかも」
まぁ確かにそうだな。日向で戦えないハンデがあるが、少なくとも学園内は日向になる場所は限られる。
限定的な空間なら、往人は圧倒的に優位に立てるか。
「でも直情的で攻撃を読みやすい」
「まぁそれは往人らしいってことで」
「…俺にフォローはないのか」
そんな具合に談笑していたとき、不意に窓ガラスをノックする声が聞こえた。
「あ?どちらさま…ってうぉ!?」
「大声出してんじゃねぇよ一騎…ってうぉ!?」
二人してびっくりしてしまう。何故なら窓の外にはロープ一本で恭介さんがぶら下がっていたからだ。
「恭介!?危ないよ!」
『おーおー、分かったから窓を開けてくれ』
呑気に窓を開けることを裕一に催促し、裕一は恭介に従ってひょいっと屋内へ入り込む。
ほかの皆が驚かない以上、かつてから日常だったらしい。
「へぇー?昨日の敵は今日の友ってか?馴染んでいるみたいでなによりだ」
「そんなことはない」
「そうか?その割には楽しそうに見えるけどな、日生」
「ばーか」
「…………」
「だ、大丈夫か恭介」
兄にとって妹の有無を言わさない罵倒はあまりに破壊力があるようだ。
しばらく沈んでいたが、やがて立ち直り俺に話しかける。
「お前が、桜井だな?」
「ああ。貴方は天ヶ瀬恭介さんか」
改めてよく見ると、へらへらしていそうでガードが固い感じがする。そしてどこか包み込むような気圏も持ち得ている。
「いかにも。俺がガーディアンバスターズの天ヶ瀬恭介さ。少し話があるんだが、いいか?」
「別にここでも構わないだろ」
「あまり他の耳に入れたくないからな。すまないが足労してくれ」
「あ、ああ」
恭介さんに促され、俺は立ち上がる。そして場を離れる前、由真と視線があった。
「………」
由真は無言で頷く。それを見て安心した俺は、恭介さんの後を追うことにした。
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