白い孤独

2/7
前へ
/171ページ
次へ
 「ママー、どこー? ねえー、ママー? ママーどこー?」 白い…… どこまでも果てしなく続く白い世界の中で俺はもがいていた。 母がいないんだ…… さっき帰ってきたはずの母がいないんだ。 どこにもいないんだ。 また…… 独りぼっちにされちゃった。 寂しい…… 気が狂いそうなくらい寂しい。 「ママーー!! ねぇ、ママーー!! ママーーどこー!?」 がっくりと膝を付き…… 俺は崩れ落ちる。 寂しさに…… 苦しさに耐えきれなくなって、俺はとうとう爆発していた。 でも…… ここには誰もいない…… 誰も助けになんか来てもくれない。 俺の泣き声だけが渦巻いている。 この白い世界の中で……  だから…… さすらった…… だから…… のたうち回った…… 母がどこにいるのかさえもわからず…… 何をしているのかさえもわからず…… そのうち自分のいる場所さえ見失うしなって…… あてもなく放浪した。 それでも見つからず…… 白い世界を漂った。 ただ会いたかった…… 抱き締めてほしかった。 それだけだった。 母に…… 俺だけの母になってほしくて…… ホンの一時…… それだけでも良かったのに……  ある日気付いた。 飛んでいる自分に…… 無意識の内は良かった。 でも…… 気付いた時には叩き付けられていた。 夢だから…… 大丈夫。 そう思っていた。 でもそれは…… 恐怖を生んだ。 「ママー。助けてー!!」 縮こまった身体を…… 更に縮こめて…… ただ…… 震えていた。 なぜ飛べるのか…… 解るはずもない。 俺はただ…… 母に会いたかった。 抱き締めてほしかっただけなんだ。 怖かった。 物凄く怖かった。 又叩き付けられる。 そう思っていた。 高所恐怖症…… その夢は…… いつの間にか…… もう一つの傷みを生んでいた……  そして俺はついに見つけ出した。 俺だけの母を…… 広い、広い…… 一面の白い世界。 さまよい歩いたその果てに見た…… 母の姿…… 母は俺を胸に抱いていた。 そう…… 俺が見つけ出したもの。 それは母の愛だった。
/171ページ

最初のコメントを投稿しよう!

273人が本棚に入れています
本棚に追加