sachi:1

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私は、何か聞いちゃいけないものを聞いたようで、 気づけば、物陰に隠れていた。 「うん。 じゃあまた。」 電話は終わったようだ。 あ… やばい。 泣けてきた………… 「っ…… うぅっ………」 「え… さっちゃん…?」 声を殺していたつもりだったが、バレてしまったようだ。 私は必死で涙をこらえた。 「あっ、ごめん。 なんか話し中だったみたいだっから…」 あ。やばい。また泣けてきた… 早くお弁当を渡して帰らないと… 「はい。お弁当… 忘れてたよ…?」 私はお弁当を無造作に幸人に渡して、 顔を見られないように下を向いて走った… 私は玄関に座り込み、自分でもビックリするぐらいの勢いで泣いた。 そりゃそうだよね… 幸人はイケメンだし、性格もいいし、モテるもん… 前から分かってたことじゃん………… ― でも悔しかった。 自分以外の女に「好き」なんていってるところ見てしまったら、 本当に悔しかった。 ダッダッダッダ 「さっちゃん!!!!」 「え…?ゆ…き……?」 何やってんの……… 早く行かないと会社に遅刻しちゃうじゃない… 「さっちゃん… なんで泣いてんだよ…」 そういって幸人は、私を抱き締めた… 「泣いてないし…っ 早く会社行きな…?」 「嫌だ。 泣いてるさっちゃん置いて会社なんて行けない…」 エミちゃんって確か、幸人の会社の人だ… こんな演技要らないから、早くエミちゃんの所に行きなよ… こんな愛想の無い女なんて置いて、スタイル抜群で可愛いエミちゃんの所に行けばいいじゃん… 「幸人… 私泣いてないから…… さっき玄関はいるとき転んだだけだから…。」 と、思いっきり涙声で嘘をついた… 「なぁ。さっちゃん… もしかして、さっきの電話、聞いてた…?」
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