一章 朝倉 優輝

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 どこからか聞こえる、金属のぶつかり合うような甲高い音。 それに呼応するかのような怒声、罵声、嬌声。 歓声の後、ふと訪れる静寂。 見渡したその場所は、見飽きるほどに見慣れた学舎で。 糸が切れたように崩れ落ちる人影。見たことのないはずのその人は、何故かとても知った顔の気がして―― 受け止めてやりたい、支えてやりたいのに体は言うことを聞かない。 何故、何故こんなことになったのか。 『く、うぅ、うわぁぁぁぁ!』       ~ 「うわぁぁぁぁ!」   ばっ、と立ち上がる感覚。汗が額から、手から、全身に溢れだす。  が、気づけばその光景は先程とは違い。 「……またアンタ?そろそろ一回死ぬべきだと思うんだけど」  明らかに先程まで授業をしていたままの教室。  というより、授業を中断させたのはむしろ―― 「……俺ですよねー」
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