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「ただいまー…」
「お帰りなさいませ、美琴様。」
「綾ちゃん…ただいま。」
メイドの綾ちゃんは、孤児で幼い頃から一緒にいた。メイドさんに憧れていた綾ちゃんは、この仕事を本当に誇りに思っている。
「美琴様のお部屋の模様替え、すでに終わっていますよ。キャビネットがお気に入りとのことでしたので、その色をベースに床も壁紙も張替えました。」
「ほんと!?」
「ただいまお部屋に紅茶とお菓子をお持ちしますので、お部屋で…」
「ああ…紅茶だけでいいよ。」
「?」
「ダイエット中☆」
舌を出して美琴は新しい部屋に向かった。
「わ…可愛い…!!」
ファンシーものや、ふわふわした色使いが大好きな美琴の好みにばっちりハマッていた。
「あ、ベッドも替えたんだ…ん?何これ???」
ベッドのカーテンを引くと、ベッドの上に大きめの正方形の箱があった。
ピンクのリボンがついていて、カードもそえてある。
「…パパ。」
それは、パパからの贈り物だった。
海外にいるパパは、すごく偉い人で、会えるのは数年に一回。
あとは一ヶ月に一回の手紙と数ヶ月に一回の電話。
カードには「進学おめでとう。パパは美琴が大好きだよ。」と書いてあった。
リボンを解いていると、ノックが聞こえて、綾ちゃんが入ってきた。
「紅茶をお持ちしまし…あれ、気づいちゃいましたか。」
「パパからの…綾ちゃんが置いといてくれたんだ。」
「はい。お仕事が大変らしいです。でも旦那様は美琴様のこと本当に大切に思ってますよ。」
「うん、分かってるよ。開けていい?」「もちろん。」
紅茶をナイトテーブルに置いた綾ちゃんは美琴の隣に座った。
「わ…わぁ…!!可愛いっ!!」
それは、白地に小さなバラ柄のシフォンワンピース。
赤と緑のコントラストが白地を浮き立たせている。
美琴はそれを胸にあてて鏡の前に立った。
「可愛い…!!どう?似合う??」
「ええ、とても。美琴は本当に素直な子ね。」
敬語が外れた綾ちゃんは、本当のお姉ちゃんみたいで、嬉しくなる。
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