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「…き、今日は退こう、また日を改めてくる。ウルフレッド、貴様も次に会ったときは…」
最後まで言わずに匿名勇者はフレッドから逃げるようにしてその場を去った。
「もう来るな…あ、スタンガン忘れてってるし。いただきー」
「お前のその危機感のなさはどうなんだ」
「何のことですか、一匹狼さん?」
スタンガンを手に取りにやりと笑って言うリタに、フレッドは顔をしかめる。
フレッド・ベック。180を超える身長と鋭い目、その実力は未知数。30代であるからか風格も漂い、若い戦士たちに恐れられていた。
フレッドもまた、リタと同じくパーティーを組んでいなかった。それらのことから一匹狼だと知られている。
「ウルフレッドとかださー…ぷぷ」
「止めろ、そしてスタンガンをしまえ」
バチバチと音を立てて電流が流れているスタンガンを向けられたら誰だっていい気はしない。むしろこわい。
「これどうやって止めるのー…あぶぶっ」
スタンガンを止めようとしたが、リタは感電しバタリと倒れてしまった。
「………面倒なことを…」
スタンガンのスイッチを切り、倒れたリタを肩に担ぐフレッド。採ったきのこが入ってる袋を2つ持って歩き出す。
1つはリタの、もう1つはフレッドのものだった。フレッドもリタ同様、きのこ狩りに来ていたのだ。
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