【1853】6月

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「……あれっ?ここは…?」 気が付くと布団に寝かされていた。 周りを見回すが見覚えの無い部屋。 なぜこんなとこで寝てるんだ? てゆかここはどこだ? …などと考えていると突然部屋の襖が開いた。 「うわっ!!びっくりした!!!目覚めた?!」 俺より少し年下くらいの着物を着た男が部屋に入ってきた。どうやら予想外に起きていた俺を見て驚いたみたいだ。 「…あ、はい。バッチリ覚めました。 ……あの、ところでここって何処ですか?」 とことこ近くへやってくると犬のように俺の横でお座り…じゃなくて正座をした男に尋ねてみた。 「ここは道場だよ。…ほら、村の人たちが『芋道場』って呼んでる……。」 男は苦笑いで答えてくれた。 …てゆか『芋道場』って何? 俺が相当変な顔をしていたのか、男はクスッと笑うと笑顔で口を開いた。 「そっか、君は知らないんだったね。 土方さんから大まかには話を聞いたよ。 …まぁ正直あまり信じてないんだけど。」 男はそう言うと土方って人から聞いた話を俺にし始めた。 「えっと、君は確か西田くんだっけ?」 「あ、そうっす!!」 「僕の名前は宗次郎。沖田宗次郎ってんだ。」 「……おきたそうじろう…?」 …どっかで聞いたような名前だな……。 「それでここは『試衛館』っていう道場。 近藤さんって人が天然理心流っていう流派を教えてるところでさぁ。 土方さんが西田くんを背負って来た時はかなりびっくりしたよ!!そんでそん時に詳しいことを聞いたんだ。 君ってずっと先の世界から来たんだってね。」 宗次郎は笑顔で話すが俺には意味がわからない。 『試衛館』もわからなければ『天然理…なんちゃら』ってのも聞いたことがない。てゆか『土方さん』ってのも俺の知り合いにはいない。
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