まえがき

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本書の編集に先立ち、まずは自己紹介をさせていただきます。 僕は音楽大学を卒業したばかりの駆け出しの声楽家である。声楽家といっても、音楽で飯を食っているわけではない。飯を食うために修行しているというほうが正しいであろう。 無論、修行中は飯を食べる金もなく、副業のアルバイトもなかなか見つからないほどのホームレスのような生活をしているわけだが、そんな貧乏な生活で唯一、「暇」というものが手に入るわけである。その暇を今は妄想や音楽の構想、読書などをして潰しているわけだが、いかんせんそれは本業の練習をした延長線上の話である。 そのふとした疑問や気づいたことをこれからたらたらと書き綴るわけである。 「へたくそな声楽家はこんなに暇なんです。」 そんな気持ちを少しでも察して蔑んでいただければ幸いです。 『僕に向けてほしい、憐れみ深い眼差しを。』(モーツァルト作曲・オペラ「コシ・ファン・トゥッテ」より第29曲より)
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