二話

4/11
前へ
/36ページ
次へ
ーーーーーー 「ようこそ、いらっしゃいました」 高杉が門前で頭を下げる。 時は少し遡り、由南を本邸へ連れていった後、高杉たちは奇兵隊屯所の門の前で長州藩加判役、松本辰義ー由南の父を待っていた。 「うむ。今日は頼むぞ、高杉」 松本は高杉を見て、後ろに目をやった。 「この者は吉田稔麿。我が隊の総督補佐でございます」 丁寧な高杉の発言は、やはり高杉自身が身分の高い者だと思わせる。 「吉田稔麿と申します。本日はよろしくお願いいたします」 稔麿の家は足軽の身分の家である。 本来であれば由南の父と話す機会などまずないだろう。 しかし、精一杯の努力をしてはいるようで、それが丁寧な物言いや所作にでていた。 .
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

133人が本棚に入れています
本棚に追加