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「ようこそ、いらっしゃいました」
高杉が門前で頭を下げる。
時は少し遡り、由南を本邸へ連れていった後、高杉たちは奇兵隊屯所の門の前で長州藩加判役、松本辰義ー由南の父を待っていた。
「うむ。今日は頼むぞ、高杉」
松本は高杉を見て、後ろに目をやった。
「この者は吉田稔麿。我が隊の総督補佐でございます」
丁寧な高杉の発言は、やはり高杉自身が身分の高い者だと思わせる。
「吉田稔麿と申します。本日はよろしくお願いいたします」
稔麿の家は足軽の身分の家である。
本来であれば由南の父と話す機会などまずないだろう。
しかし、精一杯の努力をしてはいるようで、それが丁寧な物言いや所作にでていた。
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