二話

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「いえね、我が愚妹がご迷惑をおかけしているようなのでね」 「とんでもない。彼女にはこちらが世話になっているぐらいです」 冷戦が客間で行われている中、屯所の中を見回った辰義たちの足音が聞こえてきた。 「…続きは父上とお伺いいたしましょう」 守義はそう言うとにこりと笑って見せた。 ーこの男、玄瑞より食えないな。 九一は静かに考えながら、緊迫した空気の中にいた。 「ああ、玄瑞。終わったのか?」 すらりと開けられた襖の向こうにいたのは晋作たち一行であった。 「ええ、終わりました。辰義様、お疲れでしょう、今お茶を出しますが故」 「よい。さて、守義、どうであった?」 玄瑞のことなどいないかのように扱い、息子に鋭い視線を投げかけ辰義は腰を下ろした。 「上々です。由南はここにいる」 守義が由南の名前を出した瞬間、それまで黙っていた四人の表情が硬くなった。 「ほう。あの小娘は帰らぬと思えばこのような所におったか。恥知らずもいいとこ」 辰義は心配するわけでもなく、忌々しそうに言葉を吐きだした。 「恥知らず、ですか?」 玄瑞が言葉をつなげ聞きなおすと辰義は一つうなずいて見せた。 「女子でありながら剣がやりたい、学がほしいなどというものがどこにおる?」 あれは我が一族末代までの恥だ そう辰義が言った瞬間、静かに空気が変わった。 .
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