獅子の背中

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動物園で暮らしていると 他の動物と関わりがないから王と呼ばれる筋合いがないのではないか 「はいはい…あんまりじいさんを動かさないでくれ…」 『暇暇言ってたのは、ジルじいさんだよ…』 こんな年老いたじいさんにも不可思議な事は起きてしまうなんて、誰も思っていなかった、もちろん私も……… あくる日――― 朝から若者達が騒ついていた こんなにうるさくてはゆっくり寝られもしない 「おい…うるさいぞ…少しは黙っとれい…」 『ジルじいさん!黙っていられますか!』 『自分の身に起きている事を自覚してないんですか?』 若者が不可解な事を言っている いつもと何が違うのだ…? 若者が向ける視線の先は私の目ではない 視線をたどってみると……… 「こいつは……!?」 自分の腹に寄り添い安心して眠る茶虎柄の子猫の姿があった
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