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すると風に乗って桜の花びらが舞い上がった
目の前にヒラヒラ落ちては風に乗って舞い上がる
元気出してねって言ってくれてるのかもしれない
『あの…もう歌わないんですか』
突然、まるで鈴の音のような凜とした声がボクの中で響いた
辺りをキョロキョロすると家の窓際の鳥かごの中に薄い黄色の色をした鳥がいた
声の主はきっとアイツなんだな
家の窓際まで飛んで行き、近くの桜の木に降りた
『あの…私…あなたの歌が好き…で…その…』
「ボクの歌が…好き…?」
『…はい』
彼女は優しく微笑んだ
そうして、毎日彼女の家に行っては歌を歌った
ボクはその鳥にいつの間にか恋をしていた
ボクの歌が好きと言ってくれる彼女の事が好きになっていた
「明日、この気持ちを彼女に伝えよう」
ボクはこんなに苦しい思いをしたのは初めてだった
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