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昼食にカレー食べてから舞達は、リビングの机に広げたトランプで神経衰弱をしながら休日の午後を過ごしていた。
既に半分程を取り、舞が場を眺めるだけでいると、点けているだけのテレビから、凶悪犯がこの街に入り込んでいるというニュースが流れてくる。
すると楓が揃わなかった2枚を戻しながら声を上げる。
「怖いわね~。誘拐や強盗を繰り返しているらしいわ」
「馬鹿なんだよ、その人達。力が全てだって、本気で思ってるんだよ。だから暴力とかでしか自分達の存在を示せないんだって。はい、またペアできた」
愛はニュースを横目に意見を述べ、対になったペアを取る。
「3人共、気をつけてね。あなた達ぐらいの歳の子を狙ってるらしいから」
「んなもん、来たら、ウチが返り討ちにしたるわ!」
「頼もしいわね~。私が誘拐されたら助けてもらおうかしら。…あら?」
楓が窓の外を振り向くと晴天輝く中で一瞬、突風が吹いた。
「今の強かったなぁ。風やろか?」
「2階の洗濯物、大丈夫かしら…。愛、見てきてくれない?」
楓は1階の天井を見上げ、愛に洗濯物の確認を押し付ける。
「なんで私が…。すぐ見てくるから待っててよね!」
愛が立ち、階段がある廊下へ抜けリビングの扉を閉めるとその瞬間、楓と渚はアイコンタクトを交わした。
「よっしゃ、今のうちに見たろ!」
その言葉を区切りに渚と楓はトランプを片っ端からめくり始めた。
「愛がいない間にって、卑怯すぎない!?」
「大丈夫やって! そんなすぐ戻ってこーへんて。…あ」
渚が見ている方向を見ると、開け放された扉の場所に恐ろしい形相で立っている愛の姿があった。
先程までの賑やかさから一転、静かになった途端、代わりに携帯が賑やかさを取り繕う。
♪~
最近、流行りの女性歌手の曲が流れる。同級生からだ。
――何だろう……。
『大変だよ!舞!』
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