8人が本棚に入れています
本棚に追加
携帯を手に取り、通話ボタンを押すと聞こえてきたのは相手の凄く慌てた声だった。
「どうしたの!?」
『ヤバい、ヤバいよ!』
何の為に電話をかけてきたのか分からない程、電話の相手は本題に移ろうとしない。
舞は通話相手に話を進めさせる為に次の言葉を促す。
『一期一会? 空前絶後? 九死一生? とにかくすごいんだって!!』
とにかくすごい事柄よりも四字熟語を言うことを優先する通話相手。
「一体何。有名人でもいるの?」
『えっ…なんで分かったの!?』
「う、嘘……本当に?」
ふと思いついた事が予想外に当たり、戸惑いがすかさず隠せない様子を見せる舞。
『ほら、舞の携帯の着うたの歌手!』
それを聞いた舞は一気にテンションが上がる。
舞はその歌手の大ファンであるためだ。
「本当!? ドコ? ドコに居るの!」
『駅前! PVの撮影なんだって! 舞も早く来なよ!』
「行く! すぐ行く!!」
すぐにつられる自分に少し辟易しながらも、有名人という特別な存在に会える事を体験したい気持ちがあった。
通話を眺めていた3人に出掛けることを伝えると渚が「ウチも行く!!」と言い出した。
渚の性格ならこうなるのは当然の成り行きだろう。
既に動きやすい服だった為、用意も手短に2人はその女性歌手の元へ行こうと家を出た。
最初のコメントを投稿しよう!