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「はぁ……はぁ……」
舞は息が続かないことを、いつの間にか頭の隅に追いやっていた。
闇雲に渚を追いかけては追いつかず、立ち止まり、辺りを見ると昼の姿からは想像出来ない夜の闇にそびえる不気味な校舎が目に入った。
そこで舞は引っかかっていた事を思いだす。
――渚と初めて会って街案内した日。
そこであの人達を見た気がする……。
乱れていた息を整え、心を落ち着かせて考える。
――あの服、あの車……。
そして舞の頭に、ある場面が思い浮かぶ。
〔さっきも写真を撮っている5人組がいて、その廃屋をどう使うかで盛り上がっていた。〕
学校を出て商店街に着くまでに見かけた廃屋にいた、5人組と同じ姿だった。
となれば、盛り上がっていた話とは、誘拐の計画だったのかもしれない。
そう考えると必然的に行かなければならない場所がはっきりと思い浮かぶ。
――迷っている暇なんか無い……!
渚の言葉を思い出したとき、
もう舞の足は再び走り出した。
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