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犯人達を縄で縛り返し、落ち着いたところで詩織が再び話し始めた。
「舞はどうして私のこと助けに来てくれたの?」
「だって詩織がいなくなるかもって思ったら、いてもたってもいられなくて」
「瞬の事酷く言ったのに…?」
「6年間もいなくなった人のこと引きずってちゃ駄目だよね。それに、渚に怒られたし」
「あん時はただ…ウチも必死やったから…ごめん」
「謝らないでよ、私は渚の言葉で決断出来たんだから。感謝してるんだよ。……それより、どうやって私達の場所が分かったの? 伝えてなかったのに……」
「あぁ、それは……」
渚は指にはめている、小さな石の付いた指輪を舞の目の前に突き出した。
「これのお陰や!」
「これ……家の前で拾った指輪だよね」
「せや。詩織を探してるときに舞のことが浮かんでな。んで、舞のことを強く思ったら、突然指輪が青い光が伸びて、その方向に行ったら、犯人達がおったっちゅうワケや」
「舞が倒れてるとき、ちょっとだけポケットが緑色に光ってたよ。犯人達は気づいて無かったみたいだけどね」
指輪を見ながら詩織が話す。
それを聞き、舞はポケットから指輪を取り出す。
――詩織も見たらしい。この指輪から出る光を。
「この指輪が……?」
そして間もなく、パトカーのサイレンが聞こえ、警察が到着した。
犯人達を引き渡した後、当然の成り行きで舞達も話を聞かれた。
少女1人で大人5人を倒したこともあるからだ。
その後、人質であった詩織は家まで送られていった。
舞達も話を聞かれただけで釈放。
遅くなるため早く帰っていいと言っていた。
「こってり絞られたわ~。もう危険なことはすんなって。困ってる人がおったら助けるんは当然やと思うんやけどな」
「そうだね……」
不意に舞は立ち止まり、渚を見つめて口を開く。
「ありがとう渚。詩織を助けられて本当に良かった。私、何も出来なかったから」
「ええって。それに舞があの廃屋にいたから行けたんや! 何もしてないことないで! また困ってる人がおったら2人で助けたろな!」
「うん!」
《お前に生きる意志はあるか》
《お前に戦う意志はあるか》
声と同時にポケットから指輪が飛び出し、光を帯びだす。
《時が来た…始まりの時が》
――えっ……。
声に反応する間もなく、指輪から出た強烈な光が、2人を包み込んでいった。
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