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授業中、渚は周りの生徒や数学の教師を目にも留めず舞に話しかける。
「その黄緑色の長い髪、綺麗やな~。しかもさらっさらやし…。なんで?」
「なんでって……家族みんなこうだしさ」
舞はノートに数式を書きつつ、渚の質問を流していると、満足いかないのか、渚が立て続けに聞いてきた。
「何人家族なん??」
「三人だよ。お母さんと私と妹で暮らしてるの」
「へぇ~そうなんや! 羨ましいわ~…ウチなんて一人っ子やから、寂しーて寂しーて」
靴で教壇を細かく叩く音が鳴り、振り返った数学の女教師が怒号を放つ。
「七海さん! 静かにっ!!」
「ごめんなさい……で、部活何やってるん?」
怒られても慣れているのか、性懲りもなく渚は話を続けていく。
「弓道部だよ。七海さんはどこか入るの?」
「堅っ苦しいなぁ。渚って呼んでええで! フットサル部とか有ったらええんやけどなぁ!」
「な・な・みさん! 静かにっ!」
二度目の注意を受けるが、渚は話を続けていく。
先程よりもボリュームは下げたつもりなのだろうが、その後、何度も鋭い視線を飛ばされていた。
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