一つ目の出逢い

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徒歩10分で行けるスーパーからの帰り道、ビニール袋はカレー用の人参だけではない膨らみかたをしていた。 その中にはハチミツ、牛乳、納豆、麻婆豆腐、ほうれん草が入っている。 渚が言うにはこれが絶対必要なのだそうだ。 菠薐草だけは舞の独断だが。 「納豆カレーはまだわかるけど、……麻婆豆腐?」 「知らん? テイ〇ズの名物料理。舞こそ、ほうれん草は何に使うん?」 「カレーに入れたらグリーンカレーになるでしょ」 渚の問いに真顔で答える舞。 「ならへんから!! グリーンカレーペーストとか、ココナッツミルクとかいるし!!」 「……、……分かってるよ~」 ――さぁ!なんか話題、話題…… と思う舞の視界には既に自宅が見えていた。 ブロック塀に取り付けられた小さな門を通り、庭に立ち入ると、小さな何かが靴に当たる感覚があった。 舞はその小さな何かを拾い上げて、手のひらに乗せ確認する。 ――指輪? でもお母さんのと形違うし…… ふと舞が横を見ると、渚も同じものを拾い、同じ動作をしていた。 2人が顔を合わせ疑問の表情を見せ合っていると、玄関の扉が開き、楓が2人に声をかける。 「そんな所でなにやってるの? 早く中に入って! 愛も待ってるから」 ――愛が人参を待ってたとは思えないけど。 促されるまま2人は指輪をポケットに入れ、カレーの準備に取りかかった。
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