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「お前は昔から考えるより行動だからな…」
「その度に、いつも兄上に制されますから」
自嘲気味に笑った由良を見て、吉良はそれ以上、特に咎める事は無かった。
「しかし、体調が回復次第、一度香苗さんと話をしてみようと思う」
「そうですね、香苗さん。何か知っていそうですし」
そこまで言うと、吉良はきびすを返し、
「まぁ、特にここでは手がかりは無さそうだ。移動する」
そして、二人は千都の家の戸を開けた時、
「あ…」
目の前には香苗が立って居た。
「香苗さん、お体は大丈夫ですか?」
「あぁ…熱は引いた。すまんな、医者まで呼んでもらって…」
見た感じ本調子じゃなさそうだが、それだけ言うと香苗は家の中に入って来た。
「まだ顔色が優れない。寝ていた方がよろしいのでは」
吉良も声をかけるが、香苗は首を横に振って、
「実は今日、すぐそこの隣町に用があってなぁ…ちょいと千都と行ってくる」
「そんな、今日でないといけないのですか?」
「あぁ…それに、ゆっくり眠って熱も本当に引いたんだぁ。それに、すぐ帰って来るから、霊媒士さん」
由良と吉良は顔を見合わせるが、ただ、着々と香苗の支度だけが進んでいった。
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