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そして、千都がやって来て、
「大丈夫、夕方までには帰って来るからなぁ。待ってて姉ちゃん、おっちゃん」
ニコッと笑った千都を見て少し不安も和らいだが、
「そう…でも無理しないでね」
「千都、ちゃんと俺のお守りは持っているか?」
「あぁ!勿論だぁ!」
嬉しそうに懐から紫色のお守りを取り出して見せた。
「ほら、行くぞ千都」
「あい、おっ母」
玄関先に立った香苗の元に千都が走り寄る。
「じゃ、行って来ますわぁ。留守中、家の出入りは自由にどうぞ」
香苗がそう言い残し、千都の手を引いて出て行った。
「よっぽど大事な用事なのでしょうか」
「隣町は案外近い。だが、道中倒れないと良いが」
「そうですね。それに、いざとなれば…飛んで助けに行けますし」
由良は本気か冗談か分からない笑みを浮かべた。
「違いない」
それに合わせるように吉良も軽く笑った。
二人も家を出て、
「村を回ってみるか」
「はい」
とりあえず、情報を求め、聞き込みを始めた。
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