壱ノ話【水】

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 そして、千都がやって来て、 「大丈夫、夕方までには帰って来るからなぁ。待ってて姉ちゃん、おっちゃん」  ニコッと笑った千都を見て少し不安も和らいだが、 「そう…でも無理しないでね」 「千都、ちゃんと俺のお守りは持っているか?」 「あぁ!勿論だぁ!」  嬉しそうに懐から紫色のお守りを取り出して見せた。 「ほら、行くぞ千都」 「あい、おっ母」  玄関先に立った香苗の元に千都が走り寄る。 「じゃ、行って来ますわぁ。留守中、家の出入りは自由にどうぞ」  香苗がそう言い残し、千都の手を引いて出て行った。 「よっぽど大事な用事なのでしょうか」 「隣町は案外近い。だが、道中倒れないと良いが」 「そうですね。それに、いざとなれば…飛んで助けに行けますし」  由良は本気か冗談か分からない笑みを浮かべた。 「違いない」  それに合わせるように吉良も軽く笑った。  二人も家を出て、 「村を回ってみるか」 「はい」  とりあえず、情報を求め、聞き込みを始めた。  * * *
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