壱ノ話【水】

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 しかし、餓鬼はぐぇと短く声を上げて、横に吹っ飛んだ。 「あ、れ…」  千都が顔を上げるとそこに立っていたのは、 「案山子さん!!」  ニコリといつものポーカーフェイスの案山子だった。 「遅くなって、ごめんなさい」 「ううん…!」  千都は笑みをこぼして、首を横に振った。 「結界は長くは保たんぞ」  千都に危険が及ばないと見て、吉良が香苗を急かした。 「あぁ…」  香苗は一度頷き、 「千都は…おらの子じゃねぇ」  そう一言。  * * *
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