壱ノ話【水】

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「どうして…どうして」  おっ母は泣きながら落胆した。  おらの旦那は隣町のまぁそこそこ良家の息子だった。  だが、旦那は子を産めないおらに、 「今回も死産だったら、お前なんぞ捨ててくれる」 と吐き捨てられ、おらとおっ母はそりゃあもう、焦ったさ。  下級程度の金持ちとは言え、おらとおっ母を支えるには十分だった。  悩んだ挙げ句、おっ母がこんな事を言い出した。 「香苗…ここにはおらとお前しか居らん」 「…おっ母?」 「…この子は、お前の子だぁ」  最初は何を言ってるんだろうと思った。  理解出来なくて、 「美代は子供と共に死んだ」  その言葉を聞いて、おらはおっ母の着物の裾を掴んで抗議した。  だが、女手一つでおらをここまで育ててくれたおっ母に、ひもじい思いをさせたくない気持ちも強かった。  悩んで、悩んで悩んで…おらはおっ母の提案を受け入れた。
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