409人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし、由良は何一つ動じなかった。
自分が狙われているというのに、由良は何をするでなく、ただ鬼の形相でこちらに向かって来る女を見つめた。
グングンと容易に近付く女は、由良を確実に引き裂けると確信を持った。
由良に女の手が触れようとした時だった。
パンッ!
女に衝撃が走ったかと思うと、気付けば女は勢いよく吹っ飛んだ。
「な、何だ…」
宙に舞っている間も、一体何が起こったのか思い返せど、女には分からない。
そして、そのまま全体重を乗せて地に叩きつけられた。
痛みなんか無く、ただ、何が起こったのか分からずに、吹っ飛んだ衝撃で肉片が辺りに散っている様を女は見つめた。
「貴女では私に勝てません」
頭上から鈴を転がしたような澄んだ声が聞こえた。
「私には、頼もしい護衛が居ますからね」
その声はそう付け加えた。
最初のコメントを投稿しよう!