第1章

2/8
前へ
/8ページ
次へ
付いてくるなと言われたら、付いていくのは人として当然の行動だと思う。 平成の世の中に騎士のよな格好をしたイケメンを見た私は、 なぜだかわからないけれど彼を追いかけた。 町中で叫ぶなんて真似はできないからただひたすらに追いかけた。 下校中だった私が見つけたその人は、その異様な格好にも関わらず周りには全く関心を寄せられていない。 (私がもし警察だったら確実に呼び止めるのに・・・。) そんなことを思って走っていた時だった。 いきなり足に地面の感覚がなくなった。 えっ、と思う暇もなかった。 ・・・・・・・私は池に落ちたのだ。 どうして都会のど真ん中に池があったのだろうという野暮なことは聞かない。 とにかく私はいつの間にかあった水のたまり場に勢いよくダイブしたのだ。 あぁ、バカだ。 前ばっかり見ていて池に気付かないなんて。バシャンという水しぶきがあがる音を聞きながら、私の視界は無数の泡と青に包まれた。 私は沈む。どんどん深くに落ちていく。不思議な気持ちだった。確かに私は池に落ちたのに、私から出る泡は下へ下へと落ちていくのだ。 ゆっくりと・・・・、静かに私は水の中へと姿を消していった。 ・
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加