第1章

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沈んだ池の底には陸地があった。 おかしいのはわかっている。 だが・・・あるのだ。 私は沈んだはずなのに浮き上がり、落ちたはずなのに打ち上げられたのだ。 ずぶ濡れの体は何ともいえない倦怠感に包まれる。 重い身体を持ち上げると、目の前には青青と生い茂る草木があった。 明らかに先ほどいた池ではない。というか池すら…ない。 「ここ・・・・どこ?」 ぽつりとこぼれた言葉。見慣れない風景に戸惑った私が発するにはおそらく一番適した言葉であろう。 草木の中に垣間見得る色とりどりの花や蔦は日本のものではない。 映画でみるような空想のもののようだ。 私は近くにあったショッキングピンクのキノコに触れようとする。(こんなキノコを見る機会はたぶん一生ないだろうから ) すると足元にドンっと何かにぶつかる衝撃を受けた。 「メアリ・アン!やっと見つけた!何してたんだメアリ・アン!!」 ・
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