第1章

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一言で言うと「フランス人形」だった。 金色の髪に青いぱっちりとした瞳。細い手足に小さな顔。映画ででてくるようなかわいらしい女の子。 それがウサギがビクビクと怯えている人間の正体だった。 アリス(と思われる少女)は私を見てきょとんと目を丸くする。 「あなたは・・・誰?」 丸々こっちの台詞だ。 私はそう言いたい気持ちを飲み込みウサギをちらりと見る。 「・・・・・・・・。」 いない。 さっきまで私の脚にしがみついていたウサギは忽然と姿を消していた。 ある意味利口だ。(ずる賢いだけかもしれないが) ウサギがいないのにアリスも気付いたのか彼女は少し顔を曇らせる。 あぁ、ウサギを今すぐ差し出して彼女の笑顔をみたい。 一瞬でもそう思った私は多分正常だ。 「ねぇ、あなたの名前は?」
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