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王は緑の守護の石がはめ込まれた玉座に頬杖をつき、酷い倦怠感に囚われていて、毒をもられた者のようにうなだれていた。だが屈強な戦士──リッティッロとベイルマンダス──が王に謁見の許しを求めているのを家臣から伝えられると、跳ねるように勢いよく玉座から立ち上がり若い王は威厳ある声で「わたしにとって重要な者たちとなるだろう。すぐに通せ」と言った。
二人は慣れない調子でひざまずいた。彼らにとって礼儀作法は必要なく、傭兵として血の雨が降る戦場で敵を殺して金を稼ぐことこそ重要であり、わざわざ慇懃な態度をとることは自分自身で滑稽と思えるほど可笑しかった。その様子を見た王は長々と笑った。頭に載せた金色まばゆい星のごとく輝く王冠がずれて落下しそうになったので慌てて手を後ろにやって直した。笑うのをやめると、目をこすってから胸の前で腕組みをした。
リッティッロは決まりが悪そうに首をかしげながら髭に触れた。
「合わないことはするものでないぞ、もっと楽にしてよい。わたしはエドラの王だ。おまえたちの名は遙か北の戦争の地より伝わってきているぞ。わたしは灼熱の続く砂漠にある古城にいかなければならんのだ。屈強な戦士による護衛を求めている。潜む者である悪鬼を払えないようでは古城に辿り着けずに朽ちるであろうからな。護衛を見事果たしたときには望むものを与えようではないか」王は邪悪な顔をして、手を差し伸べた。
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