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彼は城の掃除係。
城の掃除をすることが彼に与えられた使命。
一家全員…否、先祖代々彼と同じく掃除係だ。
彼はそれが普通だと思っていたし、この仕事を与えられたことになんの不満もなかった。
彼が生まれたこの国は蟻地獄のようなすり鉢状になっており、その中心には王が住む城がある。
その城の周りには国民が住んでおり毎日仕事に励む。
仕事はこの国が建国された当時初代の王が国民に与え、先祖代々その仕事を受け継いでく。
しかし、その賃金はとても少なかった。
国民は荒い造りの家に住み日々貧しい暮らしを強いられていた。
それに引き替え国王は豪華な服や宝石の指輪を身にまとい贅沢の限りを尽くした。
だが、誰もその仕組みに文句はなく、反乱やクーデターが起こったこともない。
貧しいが自然も豊かでとても平和な国だ。
城の古い倉庫で古い文献を読むまで彼はそう思っていた。
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