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「水龍、わらわはお腹が空いたぞ」
「背中に乗ってるだけのくせに?…ところで白狐、お前毎晩毎晩、祠抜け出して異世界なんか旅してていいのか?」
「ふん、かまわん。わらわが何千年も前からあの地を豊作をもたらし、災いから守っているのに人間たちときたら、田を潰し自ら実りを無くし、稲荷の奉納も100年前からしなくなりまるで自分達が神のようにふるまっておる。」
「まぁ、確かにそうだが…でも、神としての務めはきちんとするべきだろ。」
「嫌じゃ。わらわは今まで100年も稲荷無しでただ働きしてきたのじゃぞ!ここ20年餓死するかとと思ったわ!」
「痛っ…いたた…分かったから俺の背中で暴れるな。って、痛ぁっ!ちょっ、お前、俺に今何刺した?」
「おぉ、すまぬ。わらわのふぉーくが刺さってしまったみたいじゃ。」
「フォーク!?お前その左手のデカいのフォークだったのか?てっきり豊作の儀に使う杖かと思ってたわ。なんで、そんなの持ち歩いてるんだ。…てか、大きすぎだろ!」
「豊作の儀?わらわは奉納しない人間たちに痺れを切らして自ら食べ物を探しに来ておるのじゃぞ。誰が豊作の儀なぞするものか。そもそも、田がないのに何を豊作にするのだ?田があったところに出来た家から出てくる男の頭か?」
「…それはそれで喜ばれるんじゃないか?てか、お前そんな事までできるんだ…って、そうじゃなくて、何でそんなデカいフォーク持ち歩いてんだ?」
「ふふん、水龍知らんのか?今、巷ではまいすぷーんと言うものが流行っておるのじゃぞ。」
「いや、お前が持ってるのスプーンじゃないから!てか、巷でもそんなデカいの持ち運ぶやついないよ!何食べる気だよ!俺か?俺なのか?そもそも何千歳かも分かんないやつが流行追おうとするなよ!」
「ふぉーくとすぷーんは違うのか?ん、…まぁ、細かいことは気にするな。」
「簡単にまとめたけど細かくないよ!規模そんなデカいなら尚更細かくないよ?」
「おっ、水龍、あの水晶に映ってる世界、食べ物美味しそうではないか?」
「聞けよ!俺一人で喚いてるみたいだろ!」
「よし、今夜はあの世界に決めたぞ。」
「…まったく、はいはい。」
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