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『自分の境遇は知っている。だから、これ以上、如月にも関わるつもりも無い。財産なんて欲しくも無い』
次々に出される紗希の言葉は、俺を否定しているかの様で、胸にグサグサと抉るように突き刺さっていった。
ただ俺は、無表情のままあの暗い闇を帯びた瞳で、財産放棄の書類に淡々とサインする紗希を見つめる事しか出来なかった。
そんな紗希を見て、俺はどうしていいのかが分からなくなってきていた。
それから月日が流れ、紗希に男が出来たとの報告を受けていた。
その男は、西川商事のドラ息子で、他にもあちらこちらに女を作っているようだった。
俺は正直、長く持たないだろうと高を括っていた時、思わぬ報告を受けていた。
そのドラ息子とは別れ、別の男が現れたと。
それが、プラウドの宮本 圭だった。
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