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「たった一度だけど、母を抱いてくれた。じゃないと私は産まれてこなかった。それに、この子も今、この場に居なかったわ・・・・」
私はそう言うと、お腹に手を宛ててお腹に視線を落とした。
「感謝してるわ。・・・・・・お父さん」
そう言うと、私は車に乗り込んだ。
もう二度と、泰希に会う事は無いだろう。
桐谷は、後部座席のドアを閉めると運転席へと周り車をゆっくりと発進させた。
「紗希・・・・・・。紗希、ありがとう・・・・・」
消えゆく紗希を乗せた車を見つめながら、泰希は静かな朝霧の中、静かに涙と共に言葉を落とした。
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