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「私も野良猫だったのよ」
「野良猫?」
私はクスリと笑うと、白峰の方を向いた。
「圭も5年前、ボロボロの野良猫になったのよ。野良猫はね、自分の安心できるテリトリーを探す為に、旅に出るの。私も、3歳で野良猫になったの。だから私も旅に出るわ」
「でも・・・・、それなら宮本の所が一番いいんじゃ・・・・」
私は白峰の問いに、首を横に振った。
「ほら、猫って自分の死ぬ時って、飼い主に見せない為、姿を眩ますでしょ?それと一緒よ」
私がそう言うと、白峰は下唇を噛み締めて悔しそうに顔を歪ませた。
「紗希さん・・・・、貴方は俺の妹に似ています」
「妹?」
そうポツリと呟いた白峰は、飛行機の時刻掲示板を見つめた。
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