新たなテリトリーに向かって

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「連絡が有って妹を迎えに行った時、看護士から手紙を渡されました。それは死ぬ間際の妹からの手紙で、自分が苦しんでる姿や死ぬ姿を見せたく無かったって。そんな自分の記憶を俺に残すより、いつまでも笑顔で居る姿の記憶だけを残して欲しいからって・・・・」 白峰は溜息を付くと、真っ直ぐ私を見ると言った。 「俺、如月を辞めます。借りたお金も目処がついたし」 「辞めてどうするの?貴方ほどの優秀な人、敦が辞めさせると思わないけど・・・」 そう言うと、白峰は首を横に振って笑みを漏らした。 「紗希さんを怪我をさせて、宮本の家に押し入った罪を償ったら、俺も野良猫になるよ。二度と後悔したくないからな・・・・」 私はフッと笑みを溢すと、白峰を見た。 .
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