新たなテリトリーに向かって

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「野良猫?どこか旅にでも出るの?」 「いいや。紗希さんを探し出しますよ」 「私を・・・?私を探しても何の利益も無いわよ?私はもう、如月とも東條とも関係の無い人間よ?」 「ああ、でも東條 紗希は居るだろ?こんなに面白いメス猫には、滅多に会えないだろし」 そう言うと、白峰は喉を鳴らしながら笑った。 「貴方も変ってるわね・・・。じゃ、貴方の旅を祈って、私を襲った傷害は取り下げておくわ」 私もそう言うと、笑った。 その時、館内放送で名前を呼ばれた。 『有沢 紗希様・・・お連れ様が、インフォメーションカウンターにいらっしゃいます。近くの係員にお声を掛けて頂くか、カウンターまでお越し下さい。繰り返します。・・・・』 私が今日、出国をするのを知っている人はごく一部の人間だけだった。 私と白峰は顔を見合わせると、少し歩いてカウンターが見える位置へと場所を変えた。 .
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