新たなテリトリーに向かって

26/29
前へ
/1301ページ
次へ
パスポート等を手配してくれた弁護士さんの計らいで、私はファーストクラスのシートに腰を降ろした。 今頃、圭は白峰から私が渡した物を受け取っているのだろうか・・・。 そう思いながらゆっくりと目を瞑った。 自分の安住の地を求めて彷徨う野良猫達。 母も父の泰希も、そして敦や美幸もみんな不器用な猫だったのかもしれない。 家猫は、飼い主に懐きよそ者を嫌う。 そして、美里さんや武浩さんもそう。 人と交合う事が不器用な猫だった。 私と圭は、家猫から野良猫になった。 みんな、不器用で彷徨いながら生きてきたんだろう。 .
/1301ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6706人が本棚に入れています
本棚に追加