猫たちの未来

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「・・・・いえ、会わないつもり。今回は、仕事と東條の伯父様に呼ばれたから、会いに行くだけだから」 私がそう言うと、私の秘書は大きく溜息を吐いた。 「あれから4年経っています。もう、良いのではありませんか?」 秘書に言われ、私は椅子の背もたれに背中を預けると瞼を閉じた。 そう、私がイタリアに来て4年の月日が経っていた。 私はゆっくりと瞼を開けると、そこには哀しそうに顔を少し歪ませた白峰が立っていた。 「まだ、会える自信が無いの・・・。ありがとう、白峰。心配してくれて」 「紗希さん………」 私がそう言うと、私の秘書である白峰は、哀しげにそう言うと、ゆっくりとお辞儀をして社長室から退室した。 .
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