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「誰も自分を知らない異国の地で、私を見つけて……。紗羅、あっ…、娘ですけど・・・。娘を産む時、私、心臓が1回止まったんです」
「えっ・・・?」
私の思いも寄らない告白に、武浩さんは目を丸くして驚いていた。
「白峰は、私が娘を産んで数ヶ月入院していた時に現われました。出産の話しをした時、彼、床に膝を着いて頭を抱え込むと泣いていました」
私がそう話すと、武浩さんは神妙な面持ちでジッと私の話しを聞いていた。
「彼、言ったんです。もし、娘も私も死んだのなら自らもこの異国の地を最後にしようと思っていたって・・・」
「最後・・・・、って・・・・」
私はゆっくりと頷くと、優しい面持ちで武浩さんを見つめた。
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