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それから、一旦ホテルに戻り、弁護士さんとホテルのロビーで待ち合わせて、詳細内容の打ち合わせを行った。
そして、次の日、都内で滞在するのも今日で最後となっていた。
一番、圭と近い場所に居る今。
会いたいクセに、会える勇気が無い私。
会っても、圭と一緒に居たいと縋る訳でも無いが、せめてもう一目だけでも、彼の存在を確かめる様に、その姿をこの瞳で見たい。
勝手に逃げ出しておいて、そう思うのは、私の我が侭。
いつも虚勢を張って生きて来たのに、私はいつからこんなに、弱い人間になったんだろう。
たぶん、人を愛すると言う意味を知り、その愛する大切さを知ったからなのか。
私は、愛する我が子の為ならどんなにでも、強くなれる。
でも、未だに愛する人には、弱いままだった。
私は、隣でスヤスヤと眠る紗羅の頭を優しく撫ぜながら、その寝顔にキスを落とした。
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