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「会社の方はどうだ、敦?」
俺は、書類に目を配りながら親父の言葉に返事を返した。
「ああ、何とか落ち着いたよ。あれから4年経ったし人も入れ替えたから…」
「そうか…」
親父はそう言うと、ベットから外の景色を見ていた。
ベッドからは、おそらく穏やかな青空しか見えないだろう。
親父は、あれから手術などで入退院を繰り返していた。
数か月前、癌が再発して体力が落ちていた親父に余命宣告が下った。
言葉には出さないが、最後に一目でも紗希とその子供を見たいに違いない。
紗希が通っていた大学の教授に聞いても、居場所は分からないが無事に女の子を出産したと、連絡が来た事は聞いていた。
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