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「親父!あそこ!!遊歩道の所……」
窓を全開に開けて指を差しながら親父にそう言うと、親父はゆっくりとその先を見ていた。
すると、女の子を抱き上げた女性は、女の子に何かを言うとまたこちらを見た。
女の子は、母親の肩に手を回すとこちらを仰ぎ見ていた。
そして女の子は、ニッコリと笑うと、俺達に向かって大きく手を振っていた。
「親父……」
俺はそう呟き親父を見ると、親父の目からは大粒の涙が流れていた。
そして、震える手を挙げると小さくだが、ゆっくりとその女の子に手を振り返していた。
女の子はそれを見ると、嬉しそうに笑顔を弾けさせていた。
そして母親を見るとニッコリと笑い、母親もその子に微笑んでいた。
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