それぞれの道

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その姿は、紗希がまだ赤ちゃんの時に紗希をあやしていた母親、紗枝のあの優しい微笑と同じだった。 そう、まさしく聖母マリアだった。 二人は、最後にもう一度こっちを見るとニッコリと笑って手を振った。 「紗希……」 俺は、小さくなっていく親子の背中を見えなくなるまで見つめていた。 しばらくすると、隣に居た親父がポツリと呟いた。 「紗枝…ありがとう。あの子達を見守ってくれて。最後に、ワシの願いを叶えてくれて…本当に、本当に、ありがとう…」 空を仰ぎ見る親父の瞳から、涙が零れていたが、その表情はとても穏やかだった。 .
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