6685人が本棚に入れています
本棚に追加
/1301ページ
その姿は、紗希がまだ赤ちゃんの時に紗希をあやしていた母親、紗枝のあの優しい微笑と同じだった。
そう、まさしく聖母マリアだった。
二人は、最後にもう一度こっちを見るとニッコリと笑って手を振った。
「紗希……」
俺は、小さくなっていく親子の背中を見えなくなるまで見つめていた。
しばらくすると、隣に居た親父がポツリと呟いた。
「紗枝…ありがとう。あの子達を見守ってくれて。最後に、ワシの願いを叶えてくれて…本当に、本当に、ありがとう…」
空を仰ぎ見る親父の瞳から、涙が零れていたが、その表情はとても穏やかだった。
.
最初のコメントを投稿しよう!