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病室を見ると、敦は驚いた顔をしていた。
すぐに姿が消えたかと思ったら、またすぐに姿が見え首だけだした父、泰希の顔が見えた。
最後に会った時よりも、だいぶ頬はコケ、顔色も悪そうだった。
鼻に酸素チューブが宛がわれているのを見ると、痛々しくも思えた。
「紗羅、あそこにおじいさんが見えるわ。外を眺めているのかしら?手を振ってあげたら?」
私がそう言うと、紗羅は私の肩に手を置いて病棟の方を見た。
「手をふるの?」
「ええ、きっと病気で外に出れないのね?手を振ってあげれば喜ぶかもよ?」
紗羅は、私の言葉を聞くと、何の戸惑いもなく笑顔で手を振っていた。
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