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父は、紗羅と私の存在を知ると、信じられないのか少し顔を強張らせていた様だった。
しかし、小さな手で大きく振る紗羅を見ると、目を細めて窓から少し上に手を出すとゆっくりだが手を振ってくれていた。
「ママ、おじいちゃん手をふってくれたね!」
紗羅は、喜んでそう言っていた。
「本当ね。良かったわね」
私はそう言うと、もう一度父の方を向くと、私と紗羅は手を振った。
私は、自然と笑みを零していた事には気づかないで、最後の姿を目に焼き付けた。
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