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長崎は、キリスタンの街でもある為、教会が多く存在する。
私は、弁護士さんから教えてもらった教会の近くまで来ると、途中でタクシーから降ろしてもらい、そこからは紗羅と二人でこの長崎の街並みを見ながら歩いて向かった。
地形的に、坂道や階段が多いこの街並みは、どこか異国の地の様な、そんな風情を思わせる街並みだった。
普段からイタリアに居る私達にとっても、日本とも違いイタリアにも無い、この長崎独特の街並みを楽しんでいた。
私が紗羅ぐらいの歳まで、この辺りで育ったらしい。
しかし、母と伯父が亡くなった日から記憶を無くした私は、周りをキョロキョロと見るも何一つ思い出す事が出来ないでいた。
「ママ、かいだんが多いよぉ~」
「もうすぐだから、頑張ってね?」
小さい体で一生懸命、坂道や階段を上る紗羅だったが、私もかなり疲れてきていた。
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