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「紗希さん…、ですか…?」
目を開け、紗羅の手を取って歩き出そうとした時、離れた所に立っていた一人の神父様に声を掛けられた。
メガネを掛けた、年配の神父様は穏やかな瞳で私達を見つめていた。
「はい…。そうですが…」
「ああ、失礼…。私を覚えておいでかな?と言っても、紗希さんは、そちらのお嬢さんと同じ時分ぐらいだったから、覚えておいででないかな?」
神父様にそう言われ、マジマジと顔や姿を思い浮かべようと思うも霞に掛かった様で思い出せなかった。
「申し訳ございません…。覚えていなくて…。」
私は申し訳なさそうにそう言うと、神父様はニコリと笑った。
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