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私は、立っていられず傍にあった長椅子に腰をゆっくりと下ろした。
「ママ?だいじょうぶ?どこか痛い痛いなの?」
紗羅は私が泣いている事に気づくと、心配そうに私の膝に手を置いて顔を覗き込んできた。
「紗羅…」
私は堪らず紗羅を抱きしめると、ギュッと力を込めた。
紗羅は少しびっくりしていたが、小さな腕を私の背中に回すとトントンと背中を擦った。
それは、いつの日か圭がしてくれた時と同じで私の瞳からはさらに涙を溢れさせていた。
「紗羅、ごめんね…。本当にごめんね…」
「ママ…?」
私はしばらくそうすると、ゆっくりと紗羅の体から自分の体を離した。
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