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「紗羅の気持ちを聞かせて?紗羅は、パパに会いたい?声を聞きたい?」
私は、優しく微笑むと紗羅は少し安心した様に、パァーっと笑みを浮かべた。
「パパの声聞けるの?パパに会いたい。だって、ママいつも言ってたでしょ?人から何かもらったら『ありがとう』って言いなさいって。サラ、クマさんもらったのに、ありがとう言ってないもん!」
私はその言葉を聞くと、紗羅の隣に座ってカバンから携帯電話を取り出した。
結局は、紗羅の気持ち、私だけの問題でも無い。
でも私の一番の思いは……。
もう一度だけ、圭の声を聞きたい。
願いが叶うのなら、一目でもいいから、圭に会いたい。
今までの私の行動が許されるなら、圭の言葉を信じたい。
そして何より、私と圭の子供である、紗羅を圭の手で抱きしめて欲しい。
それは、私の我が侭だと、十分承知の上だ。
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