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美里さんが、優斗君を使って圭に近づいた時、子供を使ってと心の中で罵倒していたのに、今の私は、素直に言葉を発する事が出来ず、紗羅を使おうとしている。
私は、やはり卑怯な人間なのかもしれない。
神父様は、汝を許せと言っていたけど、例え私自身が許しを乞うても、圭は許してくれないかもしれない。
手紙には、『会いたい』、『プロポーズをもう一度させてくれ』と書いてあったが、心の根底では、果たして私の事を許してくれるのか……。
それでも、紗羅だけでも許してほしい。
それは、私の最後の我が侭。
圭の名前を表示させると、ジッと見つめた後、意を決しながら、ゆっくりと震える指先で通話ボタンを押した。
携帯を新しく変えても、圭の名前を消す事は出来ないでいた。
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